怠惰な猫の戯言

気紛れで、絵を描き、小説を書き、日常を話す。

代理委員会『まずは、初めまして』

 これは試作品の投稿と思っていてください。
 この作品はフィクションです。実在する、人名、地名、団体その他諸々とは一切関係ありません。
 
    *
 
「始めやがったよ、あの作者」
「休止とか言って凍結するのが目に見えてるのにな」
「いや、どうせ今日で終わりでしょ?」
「そうそう。今日で終わりなんだし、はっちゃけていこうぜ」
「みんな……始まってるよ」
 
代理委員会『まずは、初めまして』
 
「……ちょっと。多すぎる」
 ある教室に一人。気だるげな顔をした少女  松葉 菊恵(まつば きくえ)は目の前の書類の量に、深いため息を吐いた。
「……まあ、他のに手伝わせたらいいか」
 菊恵は書類をテキパキと分別していく。
 易しいか難しいか。得か損か。快か不快か。味方か敵か。菊恵のモノの見方はあまりに極端であった。
 めんどくさいものは、処理したい人に任せるのが正解だ。
 菊恵はまず、比較的軽い内容の書類を捌いていく。その大部分は、学校に置いてある目安箱のようなものからの要望で、まず聞き入れられないような案ばかりである。学園の設備を良くしてほしいやら、部室がほしいやら。
 無理に決まってんだろ。学園の運営はカツカツだから、金を払ってから言いなさい。菊恵は以前見た予算運営の表を思い出した。
 項目の多さに流石に全てに目は通していないが、よくあれだけ切り詰めてやりくり出来るものだと関心したのを思い出した。
 まあ、どうせ却下だろうが生徒会にも見させてやろう。ありがたく思うんだな。上から目線な菊恵は、黙々とアンケート用紙をチェックすると次々に生徒会送りにする。
 当然のように、案の中には悪ふざけだとしか思えないものもある。そうゆう案は早々に却下して、生徒会側に行く前に菊恵が処分する。
 本当はどんな案でも生徒会には見せなければいけないのだが、如何せん量が多く生徒会には見る時間がない。そうゆう訳で菊恵の行動は嬉々として黙認されているのだ。
「失礼します」
 何も知らない哀れな羊がやってきた。菊恵は友達を犠牲にする決意をした。
 具体的には、めんどくさい書類を友達に押し付けて自分は少し楽をしよう。まあ少しは手伝うが。という決意である。
「あ、手伝おうか?」
「ありがと。じゃあ蘭はこれお願い」
 自分から進んで面倒事を手伝おうとするなんて菊恵には考えられなかった。なんていい娘なんだ。しかし、難しい仕事を押し付けている菊恵の心には、少しの傷もできていない。
 鈴木 蘭(すずき らん)。
 とにかく優しく、空気も読める。そんな彼女の趣味は家事だというから嫁にしたい。きっともてるだろうなと菊恵は思っていた。
「はい。……さて今日は何時帰れるのかな」
「いつも通りだよ。またはもっと遅く……」
 食事が遅くなっちゃうなぁ。と蘭は呟く。
 この一ヶ月、代理委員会は居残り無しで帰ったことがなかった。それは近々行われる卒業式の予定やら準備やらを、生徒会と連携して執り行っているからである。
 二人が所属する代理委員会は生徒会の分身みたいなもので、大きな行事がある時などに生徒会の手が回らないところに代理で行動する委員会である。
 生徒会の手が回らない。
 それはこの学校が相当なマンモス校だからである。
 一学年が集まっただけでも軽く三百人は超えてしまう。それで三学年あるのだから多いが、面倒事ばかりの生徒会に入る生徒は少ないのだ。
 そして、大きな行事の際には問題事が少なからずある訳で、生徒会が動けない時などに代理として活動するのが代理委員会なのである。
「もう私たちも二年生になるのか」
「……早いもんだね」
「菊恵ちゃんは将来何がしたいの?」
「したい事ねぇ……」
 すると扉を開けて少年が入ってくる。
「すまん。クラスの用事で遅れた。今日はどんな仕事だ」
「……濃淡はあってもいつも通りだよ」
「今日のもやけに難しいね? 菊恵ちゃん」
 また難しいものを鈴木に押し付けたのか。千晶はそう思うと蘭に向かって合掌した。
 日下千晶(くさかちあき)。
 気さくな、礼儀正しい少年。冗談も通じるが比較的常識人でもある。代理委員会では気苦労がたえない総務ポジションである。
「どうしたの? 日下君」
「いや、なんでも。それ手伝うよ」
「うん。ありがとう」
 千晶は蘭に優しい。それは千晶が蘭に惚れているからなのであるが。惚れられている当人と言うと、全く気付いていない。
 ご愁傷様。菊恵は千晶に向かって合掌した。
「どうしたの菊恵ちゃんも?」
「……うん? 今日も変わらんなぁって思って」
 変わりないのが一番気楽だから、自分はいいが。菊恵はめんどくさがりなのである。
「ういーす!」
「うい~す!」
 そこに騒がしい二人組み  黒田百合(くろだゆり)と奈良幸樹(ならこうき)が教室に入ってくる。
 二人は殆ど仕事をしないが、ただ面白いと思った事には首を突っ込む。そんな二人の違いは危機回避能力が百合はあるのが、幸樹は皆無であるという点である。
「……ほら、いつもと変わらない」
「そうだね」
「まったくだ」
 騒がしいのがこの代理委員会である。溜息を吐きながら菊恵は思う。
 今日も今日とて代理委員会は忙しい。
 
    *
 
あとがき
 はい怠け猫です。
 この『代理委員会』は自分の脳内で考えたキャラ達をしゃべらせ、それを皆さんに見せたくて書いた物です。
 しかしながら、稚拙な文なので伝わりにくかったり誤字脱字があると思われます。
 その時はコメントで、アドバイスもあれば書いてもらえるとうれしいです。
 しかし、盛りすぎたかな……。堅苦しい文章だと思うので、今回は試作品と思っていてください。
 
 初回(試作品だけど)の今回は代理委員会の面々を登場、紹介する回です。
 それでも、どの台詞がどのキャラのものなのか分かりかねると思います。
 それは追々出てくる続編を読んで、皆さんの脳内でキャラの位置づけをお願いいたします。
 それでは、今回はここまで。